簡単!再帰関数を実装する方法
これはWORDIAN Advent Calendar 2022の1日目の記事です。
2日目はまだ決まっていません。
はじめに
再帰関数と聞くと、その実装に対して「難しい」と思う方が居られるかもしれません。
しかし、再帰関数は慣れてしまえばループ処理よりも簡潔に扱うことができたり、関数の挙動の定義を自然にコードにすることができたりと、とても便利なものです。
今回は、その再帰関数を定義するための考え方を言語化してみました。
サンプルコードはOCamlとRustで実装しています。 Rustのコードはplaygroundへのリンクも置いておくので、好きに弄って挙動を確かめてみてください。
考え方
まずは実装する関数の挙動について、以下の項目のことを考えます。
- 関数の引数
- ワンステップ実行後の引数となる値
- 関数の終了条件
- 最終的にその関数が返す値・構造
- 計算後の値
- 上記の値・構造に対して関数が行う演算
- 上記の演算の単位元(単位元(Wikipedia日本語記事))
例えば「整数のリストの中身を全て足し合わせる関数」では、それぞれ
- 整数のリスト
- そのリストのtail
- リストの中身が空リストになったとき
- 整数
- 引数のリストのhead
- 足し算
- 0
に相当し、階乗の計算では
- 自然数
- 引数より1小さい値
- 引数の数が1になったとき
- 整数
- 引数の値
- 乗算
- 1
に相当します。
そしてこれらの項目を使った汎用性のあるコードを書くと、
let rec f <引数> = if <関数の終了条件> then <単位元> else <演算> <計算後の値> (f <ワンステップ実行後の引数となる値>)
になります。
実際の実装
では、リストの中身を足すsum
関数と階乗の計算をするfactorial
関数をそれぞれ書いてみます。
sum
関数
let rec sum lst = match lst with | [] -> 0 | x::xs -> 1 + (sum xs)
Rust(play ground):
fn sum(lst : &mut Vec<usize>) -> usize { let i_opt = lst.pop(); match i_opt { Some(i) => i + sum(lst), None => 0 } }
factorial
関数
let rec factorial n = if n == 0 then 1 else n * (factorial (n - 1))
Rust(play ground):
fn factorial(n : isize) -> isize { if n == 0 { 1 } else { n * (factorial(n - 1)) } }
おわりに
いかがだったでしょうか。
関数の挙動を正確に定義すれば、パターンに従って再帰関数は綺麗に書くことができます。
これは返り値がリストになっても木構造になっても同じように終了条件・演算・その単位元を考えれば定義することができます。
もちろん、ループ処理の方が綺麗に書けることもありますが、再帰関数をたまには思い出してあげてください。